影山

なんで自治体によってこんなにも違うんでしょう?
不思議でしょうがありません。

バスやトラックタクシーに施すマーキングは,その面積や用途,目的によって屋外広告物としてその保管場所(車庫)がある自治体に屋外広告物として申請し許可を得なければならないことになっています。これは屋外広告物法という国の法律によって定められており,都道府県や政令都市などの自治体によって細かな条例が設けられています。この条例は都道府県によって多少の違いが生じます。結構この手続に時間と手間がかかるんですね。私たちはデザインと施工だけではなく,自治体への申請手続きも広告主様に代わって行うことが多いのですが・・・。

最近私たちが経験した興味深い案件があります。それは都内のある区に保管場所を有していた既存のバスが同じ都内の別の区に保管場所を移動させることになった時のことです。もともと保管場所となっていた区では,デザインや面積を確認していただいた際に「これは屋外広告物に該当しない」という見解を示してくださったため,屋外広告物として申請することなく運用し保管していました。ところが保管場所を別の区に移すことになった時,移動先の区の担当者は,同じデザイン画や面積計算表をご覧になった後,「屋外広告物に該当するかどうかの判断は景観事前協議書を提出していただいて事前協議を行う必要があります。」と指導してくださいました。同じ車両・同じデザイン画・同じ面積計算表を見て,加えて同じ東京都の条例に基づいて前述の判断がなされました。不思議だと思いませんか?

件の「景観事前協議書」を作成することになったのですが,これがなんとA4用紙で25ページにも及ぶもので,指示されている内容を理解するのに何日もかかってしまいました。何度もご指導いただき,ようやく出来上がった事前協議書を提出し,しばらく回答を待ちます。つまり,よその区では屋外広告物とみなされなかったバスデザインが,こちらでは屋外広告物とみなされるかどうか何日もかけて申請書を完成させ,その後また何日も回答を待たなければならないのです。しかも事前協議書提出は屋外広告物申請予定日の15日前までに提出するという縛りもありました。致し方ありません。待ちました。結果は・・・「屋外広告物に該当する」という回答でした。

それを受けて今度は「屋外広告物申請書」を作成し提出しなければなりません。申請書に土地所有者の印鑑が必要だったのですが,大きな企業の社印をいただくためには時間がかかります。それで角印でよいかどうかお尋ねしたところ,保管場所としてお借りする土地の契約書に,該当するバス車両を停めることが明記されていればそれでも良いと言われましたが,契約書にそのことは記されていませんでした。「ではだめです」という回答でしたので,社印をいただくためにかなりの日数お待ちすることになりました。結局,当初は昨年11月に移動手続きを始めたものの,手続きに時間がかかり,許可されたのは今年の1月15日,その後,本当に申請通りに進められたか否かを自治体に報告するための完了届を本日ようやく作成することができたという次第です。

同じ都条例に基づいているはずなのに,区の解釈によってこれほどの違いが生じるとは!なんともビックリです。途中で都の屋外広告物を扱う課に質問したのですが,「それぞれの区の判断に任せていますので」という回答でした。デザインから施工完了までなすべき仕事は多いのですが,今回ほど気を遣い神経を尖らせて行った仕事は珍しかったです。条例で決められているから仕方のないこととはいえ,せめて同じ条例を適用するにあたっては,同じ見解が示されることを願うばかりです。