影山

業務のデジタル化を図る

私がこの仕事を始めた1980年代半ばは,ワープロ(ワードプロセッサ)が普及し始めた時期だったと思います。私が初めてワープロを入手したのは,友人が大きな画面のワープロに買い替えるというタイミングでお古を譲っていただいた時のことでした。たった2行しか表示されないキャノンのワープロでしたが,それでも居ながらにして印刷物のような文字を打ってプリントできるということに,当時の私は「文明の利器」(もはや死語でしょうか)が手に入ったと大喜びしたものでした。取引先への連絡事項や手紙を作成しては郵送したりFAX送信していました。

その後,MS-DOSのパソコンが少しずつ広まっていきました。NECの9801シリーズとその互換機(エプソン製)だったと記憶しています。私はエプソンのRA2というPCを購入して,P1ExeというワープロソフトとKid98というデザインソフト,と言うより今思えばお絵かきソフトのようなものをインストールして使っていました。でも正直に言ってあまりこのお絵かきソフトの方は活躍できずにいましたので,なんだか高い買い物をして損したなあ,と思っていました。でもそのPCが我が社最初のカッティングシステムを導入した時に役立つことになったので十分に元は取れたわけです。

大きな変革と言えばWindows95の発売でしょう。我が社のカッティングマシンのシステムもGerber社のコンポーザーというレトラセットが販売していたシステムに乗り換えました。これまでよりもはるかに優れたデザイン機能も備えたシステムで,デザイン作業はコンポーザーで行えるようになりました。それに加えてAdobe IllustratorやPhotoshopも導入してデータとして残せるようにしたのです。

とはいえ,業務の大半はまだ手作業でした。当時,コンサルタントの先生に毎月アドヴァイスをいただいていましたが,「業務のデジタル化」という課題を突き付けられ,業務の多くをデジタル化できるように努力しました。FAXからメールに,手書きの伝票から会計ソフトを使った伝票に,紙からデータに,社内の仕事の流れも我が社の仕事に合わせたソフトを開発してもらって入口から出口までを「デジタル化」するように頑張ったことを懐かしく思い出します。今では当たり前のようなことが,デジタル化を目指し始めた当初は,むしろ今までよりも手間がかかったり,うまくいかなかったりと,試行錯誤を繰り返したこともありました。でもそうした努力の繰り返しがあって,今は業務のほとんどをデジタル化することができています。大きな会社から見ればどうってことのない話かもしれませんが,私たちにとっては大きな前進になったと思います。