影山

待望のカッティングマシンが入りました。

私が切り文字を作り始めたのは,トリムラインの2インチ幅(約5cm)のロールグッズを使って車のグレード表示を貼り着けるようになったころからでした。ロールグッズ表面のアプリケーションシートを剥がして取って置き,フィルム表面にコピーした文字を貼り,その輪郭をエグザクトナイフでカットしていく。その後,いらない部分はカス取りをして文字だけを残し,取っておいたアプリケーションシートを再びかぶせる。そんなふうにして1枚1枚丁寧にカットしていったんです。でもいくら丁寧にカットしても所詮は人の手がすること,円を作ったつもりでも輪郭がちょっといびつになってしまったりしたものです。しかも1枚切るのに時間もかかります。やがてもっと幅の広いフィルムの存在を知るようになり,それまでよりも大きな文字を作るようになったり動物などのキャラクターをカットして色違いのフィルムを貼り合わせるようになったりと,表現の幅を広げることができるようになりました。そうなるとやはり欲しいのが(必要なのが)コンピューターを使ったカッティングマシンです。

カッティングマシンの導入は夢でした。というのもトリム・ラインジャパンが推奨していた機種はスリーエム製のもので,600万以上もする見積り金額でした。とてもそのころの売り上げから考えると導入できそうもない価格です。でも欲しい! そこでサイン&ディスプレイショーやジャパンショップなどの展示会に出かけては,うちでも導入できそうなマシンシステムを探しまくりました。2年ぐらい探したでしょうか。するとカッティングプロッターで45cm幅までのフィルムに対応する機種があることがわかりました。勧められていた90cm幅ではありませんが,そのころ手掛けていた仕事でそんなに幅広いものは必要ないと思っていましたので,45cm幅で探すことにしました。何社か候補に上ったのですが,最終的に2社に絞られました。そして積水化学が開発したシステムを導入することに決めたのです。確か毎月のリース代は5万円だったと思います。私としては清水の舞台から飛び降りるような気持で導入を決定しました。自宅の2階にあった仕事部屋にセッティングしました。MS-DOSのパソコンに40MB(ギガじゃありません。メガですよ)のハードディスクをオプションで付けて,ミマキ製の45cmまでカットできるプロッター,それにデジタイザー代わりのスキャナーがセットになっていました。データはフロッピーディスクに入れての保存です。今考えればおもちゃのようなシステム構成ですが,その時の私は「ついにカッティングマシンを入れられたぞ!」という喜びの叫びを上げたいような気持でした。

このシステムで使っていたミマキのプロッターはとても優れもので,システムを入れ替えてからも活躍し,15年ほどノーメンテナンスで活躍してくれました。