仕事において正直かつ忠実であることの大切さ
念願だった会社のガレージ建築が始まりました。
これまで業務用の車両は事務所前の駐車場に停めていました。タイヤロックやハンドルロックをしても時々いたずらされて(持って行こうとして)いましたので,安全に保管できる場所が必要でした。加えてガレージがあるなら,車両を預かって施工したり光触媒やPPFの施工もできるので,今後の事業発展のためにも欲しかったのです。偶然,一昨年の年末に弊社の既存駐車場に隣接する土地のオーナーさんから土地の購入を打診されたことがきっかけでこの計画が動き始めました。地目変更や開発許可の申請,建築物の申請などにかなり時間がかかりましたが,やっと着工にこぎつけることができたのです。
ところが,いざ基礎工事が始まってみると,いただいていた図面と異なる工事がなされていることが発覚します。布基礎のベース部分,図面ですと「9-D10」と明記されています。これは「直径10mmの鉄筋が9本」という意味だそうです。下の図面を見ると確かにそうなっていますね。
実際になされた工事は下の写真の通りです。
写真左側を見るとベースの部分に7本しか鉄筋が組まれていないことがわかります。加えて,右側の写真を見ると2本の鉄筋が重なっていますが,一部隙間があることもわかります。これも本来は隙間がある場合には,その部分に1本補強することになっているのだそうです。なぜこんなことが分かったかというと,コンクリートが流し込まれる前に,設計士の先生が,朝8時には現場においでになり,どんな工事がなされているかをしっかりチェックしてくださったからなのでした。もしそうしてくださっていなかったなら,そんなこととは露知らず,基礎部分は今ごろコンクリートの中に埋まってしまい,手抜き工事がなされていたことなど私たちにはわからないままになっていたはずです。不正直な業者はそのことを隠したままにしていたことでしょう。設計士の先生が実情を把握してくださり,コンクリート打ちをストップさせてくださったからこそ,私たちも記録することができたのです。この後,無事に基礎部分の配筋は補強され,コンクリートも流し込まれました。
教訓を得ました。建築に関しては素人であっても,きちんと図面は見ておくこと,実際の工事がその通りになされているかどうかをしっかり確認することが大切です。おそらく基礎工事の段階でこのような不始末をしでかした業者をこれから信頼することはできないでしょう。期待が大きかったので,「裏切られた」という気持ちも大きいものです。これは私たちの仕事にも言えることだと思います。お客様は,自分のクルマがどのように仕上がるのか楽しみにしていらっしゃいます。その期待に応えてこその仕事だということです。一度その期待を裏切るともう信用していただくことは難しくなります。そうならないようにキッチリとした仕事を正直に行い続けたいと思います。今回,設計士の先生は「チェックするのは自分の仕事だから」とさり気なくおっしゃっていました。でもご自宅から朝8時前にうちの事務所までおいでになるためには,きっと7時前には家を出なかければならなかったはずです。でもそのおかげで手抜き工事を見抜いて是正することができたのです。自分の仕事に忠実であること,そして正直であることの大切さをこの出来事から学ぶことができました。
今日は基礎の型枠工事がなされています。明日の午後一でコンクリートが流し込まれるそうです。さてどうなりますことか,楽しみですね。