フィルムのひび割れとメーカーの対応に関するあれこれ
弊社は普段から案件によってフィルムを使い分けています。それは価格面の問題やお客様の希望する色の問題など様々な事情によります。ただ品質は同等とみなされるものを使用しています。一般的には5年から7年の耐候性があるとメーカーによって説明書に明記されている製品です。メーカーが違うだけで品質はほぼ同等という認識を持っていました。ところが最近,お客様からのクレームによってある問題が発覚しました。それは施工後4年ほど経過したものでした。片方は赤いフィルムを使用し,もう片方は青いフィルムを使用して同じように施工したものです。赤いフィルムを使用した車両は今でもきれいな状態を保っていたのに対し,青いフィルムを使用した車両はことごとく水平面に貼られたフィルムがひび割れ(クラッキング)していたのです。
赤いフィルムは3M社のスコッチカル・JSシリーズを使用したものでした。青いフィルムは国産の別メーカーの物でした。そのメーカーのカタログには耐候性の欄に「約5~7年相当」と記されていました。ところがお客様によると2年ちょっと経過した時点ですでにひび割れし始めていたということです。お客様は当初,弊社の施工に問題があったのではないかと考えておられたようですが,状況を見るとフィルムそのものの品質に問題があったことは明らかでした。メーカーの担当者にも現場をご覧いただき対応を検討したのですが・・・。メーカー側の答えは「「補償はできない」というものでした。まあそうなんでしょうね。
カタログには「約5~7年相当」と明記されており,そのことを伝えると「それは垂直面の場合なので」という返答でした。水平面は紫外線の当たり方も違うのでその半分程度になると教えられました。それは理解できるとして,それだけではなくメーカー担当者によると「車両施工には推奨していない」という驚くべき答えが返ってきたのです。急いでメーカーのHPを見て「施工マニュアル」を探したのですが,そこにはしっかり【車輌施工について】というページがあったのです。施工マニュアルまであるのに「推奨していない」というのはおかしな話ではないかと尋ねたのですが,「それは使用者の中には車に使う方もいるので載せているだけ」と言われてしまいました。どうも釈然としないのですが,これがそのメーカーの答えなのです。
わかったこと・・・やはり3Mの製品は素晴らしい品質なんだな,ということです。同じような数字が書かれていてもそれを鵜呑みにしてはいけないということも実感しました。売った後のことは責任を持ちません,というスタンスのメーカーが存在することもわかりました。フィルム選びは慎重にしなければいけませんね!今後,新規案件からは当該メーカーの製品は使用しないことにいたしました。今回のお客様からのクレームについては,弊社の責任ではないのですが,お客様にもご納得いただけるような対応ができるようにお客様と相談している最中です。弊社は売りっぱなしにはいたしません。